(……まさかね)



そんなはずがない。


そう思えば思うほど気になり、思葉はもう一度柄を握ろうとした。



「やめろ、ちび」



聴こえた。


まるで人がすぐそこにいるような音で鼓膜に届いた。


空耳でも気のせいでもない。


それよりも向けられた言葉にむっとして、反射的に思葉は言い返した。



「なによちびって、まだ成長期の途中なのよ」



思葉は身長が学年平均より少し低いことをかなり気にしている。


ぎりぎり150センチあるくらいだ。


対照的に來世は高く、並ぶと中学生と高校生の兄妹に見えてしまうのがとても気に入らない。


來世ほどではないが永近も高く、知り合いで思葉より低い人間がほとんどいないので余計にだ。


言い返してから、思葉は真っ先に気にするべきところがそこではないことに気づく。


声は右からも左からも、後ろからも聴こえなかった。


伸ばした手の先から聴こえてきた。


思葉は眉間にシワを寄せて太刀に顔を近づけて様子を伺う。


それは声を発した相手も同じだった。



「おい小娘。まさかおまえ、おれの声が聴こえているのか?」



間違いない、深みとどこか陰のある声は、この古ぼけた太刀からしていた。




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