彼女を迎えに行けば、目の前に現れた女

性は紛れもなく彼女なのに、雰囲気が違

うせいか別人のように見えときめく。


化粧でこうも変わるのかと改めて思い知

らされた。


彼女は恥ずかしいそうにうつむき頬を染

めている。


ワンショルダーの赤いドレスが白い肌に

よく似合っている。


セクシーなドレス姿に目のやり場が困っ

て目をそらしてしまった。


従姉妹の真琴が、ニタニタと笑っている

のが面白くなく彼女の手を掴み店を後に

し車に乗り込んだ。


「……副社長…手を離してくれませんか

?」


「零だ…」


名前で呼ぶように教えたのに副社長と呼

ぶ彼女に、苛立った。


「聞こえていないのか?」


「聞こえています」


「それなら、副社長ではなく名前で呼ぶ

んだ」


彼女の手をぎゅっと掴み、催促するのに

素直に呼ばない彼女が憎たらしい。


生意気な口をこらしめようとキスをすれ

ば、車の中だということも忘れて彼女と

のキスに夢中になってしまっていた。


かすかに身を震わせる彼女。


彼女も感じてくれているのが嬉しい。


唇を離すと、熱ぽく潤んだ瞳に魅入られ

彼女の頬を撫でていた。


頬が熱く、火照っているのが手のひらか

ら伝わる。


約束が違うと怒っているくせに目は潤ん

で艶っぽいのはどういうことだ。


誘っているのか⁈


「…名前も呼べないで恋人のふりができ

るのか⁈腕を組むぐらいじゃ誰も納得し

ない。キスも同じだ…ディープなキスで

もしないと納得しないだろう」


「……れ‥い…あなたの望む恋人になる

から…もう、今みたいなキスはやめて」


彼女とキスをしたい俺には無意味なやり

とりだが、恥ずかしそうに零と名前で呼

んだ。


頬が緩む。


彼女と繋いでいた左手の薬指にダイヤの

指輪をはめると…


驚愕する彼女。


そうだろうな…


指輪のサイズは、秘書室でキスした時に

指を触って確認していた。


薬指にピッタリとはまり、彼女の細い指

に光輝く指輪……これは、まだ序の口。


今日は、帰さない。


何か言いたげな彼女の唇に人差し指を立

て何も言わせなかった。


無言のまま会場のホテルに着くまで手を

繋いでいると手から彼女の戸惑いが感じ

とれるが、彼女の心をつかむには時間が

足りない。


公私混同でもかまわない。


どんな手段だって使ってやる……




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