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『別に…無理してくれなくてよかったのに』

七海のその言葉は、まるで俺をどうでもいいと思ってるみたいで、酷く冷たい声で俺の耳に届いた。



七海が何かを諦めてしまう前に話をしなければ、と気持ちだけが焦った。
何かを言おうとする七海の言葉を遮って、口を突いて出たのは七海を責めるような言葉ばかり。




「せっかく時間作ってきたのにそんな言い方されちゃぁ、怒るに決まってんだろ?だいたい、お前がヘラヘラ男と飯なんか食ってるから!」

こんな言い方するつもりじゃなかった。これじゃぁ、いつかと全く同じ。
あの時と違って七海が目の前にいないおかげで、無理矢理押し倒したりはできないだけで、何一つ変わらない。




もういいよ、と言った七海の、気持ちが俺には分からなかった。
焦れば焦るほど俺の声は低くなって、電話の向こうで七海の喉が小さく音を立てた。


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