イジワルな旦那様とかりそめ新婚生活
3、彼の事情 ー 桜子side
なぜこうなった?

婚姻届に署名した後、鷹司さんに再び車に乗せられ私達は今、有名宝石店にいる。

「……墓穴掘ったかも」

私はポツリと呟く。

個室に通され、ソファーに腰かけるがテーブルの上に並んでいるのは一目で高価とわかる婚約指輪とそれに比べると少しシンプルな結婚指輪。

この状況に茫然としている私とは対照的に、隣にいる鷹司さんは優雅にシャンパンを飲んでいる。

「……結婚指輪に婚約指輪……おもちゃじゃ駄目なの?」

私が放心しながらぼやくと、隣にいた鷹司さんがフッと笑った。

「おもちゃじゃあの人は納得しないからな」

あの人?

誰だろう?

今日の結婚式に来てた人だろうか?

「どれがいい?」
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