私の横に居る人
「私は春休み中のバイト代で、近場なら大丈夫かなって思ってるんだけど。でも悠が行かないなら、どうしようかな~。」

麻帆の迷っている気持ちも分かるけど…。

「そんなの気にしないで行っておいでよ。寛人先輩もいるんだし。」

私は麻帆を突っついた。

部室前で立ち止まってそんな話をしていると、きれいな女の人が笑いかけてくれた。

「あら、大丈夫よ。せっかく行けるのならおいで、おいで。」

一瞬私達は知らない人に話しかけられて、びっくりした。

「私、工学部2年の山口響子(やまぐちきょうこ)。山口ってもう一人いるから、響子でよろしく。」

気さくな感じで、自己紹介をされる。

「私、文学部1年の矢田麻帆です。行きたいとは思ってるんですけど、友達がいないと、やっぱりつまらないかなと思っちゃって迷ってます。」

正直に麻帆は響子先輩に話した。

「私は石野悠です。私が金銭的に今回は無理そうなんです。」

残念そうに、先輩の顔を見る。
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