翌朝、目を覚ました菜々は、すぐ前に永輝の寝顔を見つけて目を見開き、真っ赤になった。

(きゃー、どうしよう、嘘みたい……。永輝さんと……)

 ドキドキしながらも、彼が眠っているのを幸いに、その端正な顔をじっくりと鑑賞する。

 額に乱れてかかる栗色の髪、長い睫毛、すっと通った鼻筋、わずかに開いた形のいい唇……。

 以前、永輝は下唇が〝セクシーだと評判〟だと言っていたが、彼の場合、全身がセクシーだ。昨晩、ベッドサイドライトの淡い明かりの中、一糸まとわぬ姿で菜々を見下ろしていた彼は、きちんとしたバーテンダーの制服を着ているときからは想像もつかないほど、逞しい体をしていた。フレアをするときそのままの情熱で口づけながらも、初めての菜々を気遣って優しく抱いてくれた。

(永輝さん……)

 そのときのことを思い出して、菜々は恥ずかしさのあまりタオルケットを引き上げ、顔を隠した。その動きで目を覚ましたのか、菜々を腕枕していた筋肉質な二の腕がぴくりと動いた。

(あ、起こしちゃった……?)

 菜々が息を詰めていると、永輝が反対側の手を回して菜々を包み込んだ。

「おはよう」

 低くかすれた声が聞こえてきて、菜々はタオルケットから目だけ覗かせる。

「おはようございます」
「なんで隠れてるの?」

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