溺愛オフィス
【触れてみたいのです】
カタログのスタジオ撮影に立ち会い、特に大きな問題もなく順調に進み週が明けた。
月曜の今日は、本来のプレス業務をメインに動いていたのだけど、来週行われるロケ撮影のスケジュールについて若干の調整が入った。
その確認を桜庭さんにお願いしたくて、すでに定時も過ぎた夕刻。
「あの、桜庭さんはどこか知りません?」
私は、オフィスに桜庭さんがいないので、桜庭さんの席の近くに座っている女性社員に声をかけた。
「さっき、応接室の方入っていったのを見たけど」
応接室?
ホワイトボードの桜庭さんの予定には、何も書かれてなかったけど……
「お客様でも来ているんですか?」
首をひねると、社長が通りかかって。
「一陽ならただのサボリだよ。起こしてやって」
ニコニコしながら言って、去っていく。
寝てるってことなのね。
確かに応接室のソファーは寝心地良さそう……じゃなくて。
どうしよう。