「今日は遅くなる?」



「いや、多分定時で上がれると思う。
じゃ、行ってくる。」



「分かった。行ってらっしゃい。」




ビシッとスーツ姿の夫の背中を見送りながら、
私は小さくため息をつき、家事の続きに取りかかった。



私、永見 佐和(ナガミ サワ)、30歳。
結婚2年目の専業主婦。



夫は同じ会社で知り合った。



営業マンの中でエースだった夫は、同じ会社の女子社員から結構モテた。


イケメンで仕事はできて、その割には人付き合いもマメで…


とにかく、そんな激しい争奪戦のなかで勝ち抜いた私は今、こうして奥さんをやってる。



結婚を期に…というか、夫から家庭に入ってほしいと頼まれ、会社を辞め専業主婦になった。



特に仕事にも未練はなかったし、家庭に入ることは嫌ではなかった。




…………はずだったのに、




今では仕事を続けていれば良かったと後悔していた。




何かに逃げていたかった。



気を紛らわしていたかった。




夫の秘密を知らないふりしていかなければならないのに、これから先もずっと。
















この作品のキーワード
年下  禁断  優しい  専業主婦  義弟 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。