「おはようございまーす……」


寝起きドッキリかのように声をひそませ、警備システムを解除すると、そのまま2階の寮に向かう。

寮のドアは、鍵がかかっていない。まるで、私が来るのを待っているかのよう。

そっとドアを開けると、出勤前の店長がコーヒーを飲みながら、ニュース番組を見ていた。


「おはよう。今日は早いな」

「おはようございます。あの、これ……夕飯の足しにしてください」


持ってきたトートバッグを差し出す。

中身は、タッパーに詰めた手作りのおかず。


「……別に、毎日持ってくることないんだけど。飯が欲しくて、お前と付き合ってるわけじゃないし」


若干困ったような顔で、店長が言う。


「め、迷惑でしたか?」

「そんなこと言ってない。嬉しいよ。けど、時間も金もかかるだろ。無理はしなくていいから」


店長は私からトートバッグを受けとると、中身を冷蔵庫の中に入れる。

つきあおうと言われた翌日から、私はせっせと寮暮らしの店長のために、おかずを作って持ってきていた。

舞い上がって、とにかく何かしてあげたくて、うっかり毎日持ってきちゃったけど……もしかして、私って、重い!?うざい!?


一人でおろおろしていると、矢崎店長は綺麗に洗って乾燥させたタッパーを返してくれた。


「昨日の肉じゃが、うまかった。ありがとう」


ぽんぽんと頭をなでられ、ぱああと脳内にお花畑が広がっていく。


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ほのぼの  意地悪  メガネ男子  年上  上司  オフィスラブ 

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