未知
携帯を手にとる。

今までの元彼とのメールを読み返す。

機種を変えて、最近のメールしかないけれど、怪しいと思えるのは一つもなかった。

「やーめた」

ベッドに寝転び天井を見る。

目をつぶる。

涙があふれた。

嫉妬ではない。
責めるつもりもない。

ただ何となく悔しかった。
切なかった。

ふと頭をよぎる…出会い系。

確かマヤが言っていた、今人気のある出会い系サイト。

無意識に検索をしていた。

悪い事をしている時のように心臓がドキドキする。

鼓動が高鳴る。


あった。

元彼がやっていた出会い系サイト。

勝手に手が入り口をクリックしていた。

元彼を探す。

なぜか探していた。

失望した元彼をなぜか探す。

都道府県。

年齢。

手当たり次第探す。

ここまできたら女の勘。

時が経つのも忘れ、探した。

あった…いた…

息を飲む。

絶対これだ。

文章の打ち方、絵文字の使い方、絶対元彼だと確信した。

血の気がひく。

わかっていて探したはずなのに、見つけたくて探したはずなのに、頭が真っ白になっている私がいた。

一気に冷めた。

過去の想い出も彼のぬくもりも優しさも一瞬にして抹消された。


最低…

もう涙はでない。

切なさが怒りに変わるのがわかった。

だからといって元彼にどうこうしようとは思ってない。

ただ、こんな軽い男だとは思ってなかったし、何事もなくこのサイトに書き込んでいる元彼を思うと腹がたった。

何人の人がこれを見てメールをしたのだろう。

そんな事まで考えてしまった。

けどふっきれた。

これで良かった。

こんな男とはこっちからバイバイだよ。

私の冷静、冷酷さが顔をだす。

一瞬にして冷めるってこういう事。

特に男と女はもろく儚い。

バカな男…

勢いよく携帯をとじる。

なんかスッキリしていた。

鏡を見る。

目が腫れている。

ぶさいく…

けれど心は晴れ晴れしていた。
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