異変が起きたのは、私たちが移動を始めてすぐ、3階に降りる階段に差し掛かった時の事だった。



――――――カシャン!



真後ろから聞こえた、何かが落ちる音。


みんなが振り返ったのは、電池切れの懐中電灯を落としたここあが叫んだ後だった。


「きゃああぁあっ!?」


短い悲鳴のあと、その場には静寂が残る。


私達の視線の先には、懐中電灯が1つ。



ここあは、いない。



「っ、ここあっ!?」


智哉の動揺がかなり伝わる声も、ただ虚しく廊下に反響しただけ。


ここあの耳には届くことがなく、消えていった。


今私たちが理解できるとすれば、ここあがいないと言うことだけ。


どうして急にいなくなった?


何を見て、何を感じて叫んだ?


あまりにも急すぎる出来事に、私達はそこまで考えることが出来ずにいた。


何?


一体、何が起きたの?


「血だ」

「え?」


ぼーっとしていた私の思考回路を引き戻したのは、智哉の声だった。


切羽詰まったような、絞り出したような声。


「懐中電灯にも…その周りにも、血が付いてる」


智哉のもつ懐中電灯が照らしている地面には、真っ赤な液体があった。


考えたくないけど…ここあのもので、間違いないと思う。


突然幼馴染みの姿が消える…高校で知り合った私でも動揺するくらいだから、智哉のショックは酷いだろう。



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