病院から一歩外へ出ると、こちらへ一目散に駆けてくる人影が視界の端に映った。


「あれ、」


足を止めてそちらを見る。


「修治さん!?」

「お疲れ。」


彼はイタズラが見つかった子どものような顔で、こちらに近付いてくる。


「何で…仕事は?」

「抜けてきた。お得意さんとこ行ってきまーすって」

「えぇっ」

「何だよ。ホラ家まで持ってやるから荷物貸せ」


そう言って彼は素早く私のトートバッグを自分の肩にかけ、歩き出した。


…そんなに重くないから大丈夫なのに。


そんな事を思いながら、私も慌てて彼の背中を追いかける。

と言っても、最近は私のペースに合わせて歩いてくれるので、置いて行かれたりはしないのだけど。


「息抜きだよ。たまにはいいだろ?」


修治さんはそう続け、空に向かってわざとらしく伸びをした。
その仕草からも、そわそわと浮き立つ気持ちを必死で抑えているのが伝わってきて 私は思わず吹き出してしまう。


「な、なんだよ」

「嘘ばっかり。本当は気になって仕方なかったんでしょ?」


私の半歩先を進んでいた足を止め、
修治さんは振り返る。


「……当たり前だろ。仕事なんか手につかねぇよ」


再び笑う私に、彼はで?と詰め寄ってきた。


「どっちかわかったか?」


私はゆっくりと深呼吸して
瞳を輝かせる、最愛の夫を見つめる。



「……女の子でした。」

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