私が副島新に抱き寄せられたのはさっきまで飲んでいた居酒屋から少し離れた場所。急に大通りから一本入った場所に連れ込まれたかと思うとキュッと抱き寄せられた。たった一本入っただけでも人通りは殆どなくなり、少しの暗がりの中私は副島新に抱きしめられていた。


 大事なものを抱くかのように私を包む逞しい腕が私の腰をグッと引き寄せる。『幸せそうな顔を見せて』と言ったのは嘘じゃない。大好きな副島新が笑った顔が見たいと思った。


 素直じゃない私がかなりの勇気を持って言ったのは間違いない。


 そんな私の言葉の意味を理解したのか副島新は少しだけ笑ったような顔をした。ちょっとだけ口角を上げただけだから、普通の人が見ただけだったら、笑っているとは分からないかもしれない。でも、副島新の傍で過ごした二年という年月が、彼が笑っていると教えてくれる。それだけで私はなんでこんなにも幸せな気持ちになるのだろう。


 私は自分が思っていたよりももっと副島新のことが好きみたい。


 少し緩まった腕の力はキュッと込められ、私の身体は副島新の身体に隙間が無いくらいに引き寄せられ、綺麗な顔が近づいてきて、それに呼応するかのように目を閉じると私の唇にそっと微かに触れた。それはほんのちょっとで掠ったと言っても過言じゃないくらいに触れるだけのキスだった。

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