某住宅街

私は青い封筒から取り出した便箋と、もう一方の手にはGoogleマップを表示させたスマートフォンを握り締めキョロキョロ辺りを見回しながら住宅街をフラフラ歩く。

ハタから見れば不審者だ。

お腹も目立つようになってきたので、逃げた子どもの父親を躍起になって探している妊婦に見られているかもしれない。

ようやく目的のマンションの前に辿りついた。

「ここ…?」

鉄筋コンクリートの5階建で白い外壁は所々色が剥げており、そんなに新しい物件にも見えない。

周辺は薄暗く日当たりも良くなさそうだ。

常駐している管理人もいないようなので私はそのまま建物に入っていきエレベーターに乗り込んだ。

4階で降りると目的の412号室へ向かった。

ドア越しに聞き耳を立てると中からテレビの音とカシャカシャと食器を片付ける音がした。

留守ではないことを確認すると、ドアスコープを指で抑えてインターフォンを鳴らす。

「はあい」と女性の声が聞こえると、パタパタと此方へ向かって歩いてくる足音がする。

ガチャリと扉が開くと背の高い黒髪の女性が姿を現した。

「遥ちん?」

大きく見開いたアーモンドアイが私を捕らえた。

「久しぶり、燁子さん」私はにっこりと笑みを浮かべた。

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