陽だまりの天使
良く言って、連絡を取る男性の知り合いが出来た。

そのくらいで、恋愛とかそういうことじゃない。

よそ行きの丁寧な文面は、きっと友人にもなっていない。

最初よりは言葉が砕けてきたので、友人と言っていいなら嬉しい。

1週間でわかったのは、年齢は思ったより近くて、学年で言えば一つ上の24歳。

ギャラリーオーナーは何をしているかというと、ギャラリーの案内はもちろん、ギャラリーの経営、事務、交渉、スケジュール管理と多岐にわたる。

もっと言えば、ギャラリーの宣伝、展示会の広報、営業活動もあるけれど、それらは最近土谷さんがほとんど引き受けてくれているので助かっているらしい。

海外とのやり取りもあってパソコンの翻訳機能を誰よりも使っているなんて冗談も言っていた。

作品を移動させることもあるので、意外と体力仕事だとか。

質問をすると坂木さんは面白おかしく返事をしてくれ、お互いの仕事の愚痴をちょっとだけ零したりもする。
それだけでも毎日の生活が色づいているのは確か。

少なくとも、届くメールが楽しみで一日に何度も携帯を確認してしまう。

「で、王子様は落とせそうなの?」

帰り道が同じ方向の直美と並んで電車を待っていると、腕を絡ませて聞いてくる。

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