SECOND プリキス!!




玄関前、立っている女の子はやはり多くの視線を独り占めだった。

それでもなお、凛としているのはあれだよね。副総長の威厳ってヤツだよね。




「灰音。」

小声で呼べば、彼女───改め彼は振り返る。

「初伊!」



うん、やっぱり灰音だった。

陰飛羽に似つかわしくない髪形だからどうやっても目立っちゃうんだよね。



「誰をお待ちですか?」



こう言ったのは、カナ女に用がある“知らない女の子”を気遣ってる他人風を演出するためだ。

友達にこういう風でいるのは結構申し訳ない気分になるが、仕方無いから許してほしい。

灰音に話しかけにいった私に一瞬お嬢様方からの視線が集まったけれど、他人を装えば一気に私への興味はなくなったようだった。

もうこちらに目をむける人もいない。



で、灰音は誰を待ってるんだ?

この学校に知り合いでもいるんだろうか。

あ、もしかして……天真先輩繋がりで天音先輩とか?



「誰待ち?呼んでくるよ?」

「ミューズ待ち。」

「はい?」

「ミューズ待ちだったんだよ。」



日常生活ではまず聞くことのない単語に聞き返せば、確実に“ミューズ”と言った彼。聞き間違いではあるまい。

ミューズ……?

うちの学校に、ハーフな先輩いたかな。

それとも、“ミユ”とか“ユズ”とかのあだ名なんだろうか。



「本名で、教えてもらえる?」

「烏丸初伊。」



……ん?



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