~SPの彼に守られて~
◇episode03
 普通乗用車に乗って数十分後、アパートに到着し、部屋は2階にあるので、車から降りて鷹野さんを先頭に階段を使って昇ると、私の部屋の玄関前に白鳥さんが立っていた。

「白鳥さん!」

 私は白鳥さんの元に駆け寄り、昨日の男たちに囲まれて怪我を負ってないかと顔や体を上から下まで見ると、白鳥さんの顔は傷が無く、体も見た限りでは包帯とかをしていない。

「そんなにじろじろと見ないで頂きたいのですが」
「す、す…、すいません。白鳥さんが怪我をしていないか心配だったので」
「それ(護る)が役目なので、貴女が気にやむことはございません」
「だから言ったろ、お前が心配することはないって」

 背後から鷹野さんがきて、私の隣に並ぶ。

 確かに鷹野さんは昨日普通乗用車で移動をしているときに、白鳥さんのことは心配しないでいいと言っていたけど、心配なものは心配なんだけどな。

「それでも私は白鳥さんが男たちに囲まれて怪我をしてないか、ずっとずっと心配だったんです。でもこれからは心配し過ぎるのは止めて、私を護って下さる2人を信じます」
「……」
「……」

 私がそう言うと、鷹野さんと白鳥さんは黙って顔を見合わす。

「………私は下で周囲の警戒をしますので、荷造りは早めにお願います」
「ああ、頼む。おい、鍵を貸せ」
「はい」

 白鳥さんは警護のために階段を降りていき、鷹野さんは私に部屋の鍵を渡すように手を差し出した。

 バックから部屋の鍵を取り出して鷹野さんに渡すと、鷹野さんはスーツのポケットから棒に変化する銀色の筒を取り出して、それを軽く振るう。

「もしかして誰かいるんですか?」
「念のためというのもあるし、俺が先に入って中に不審な物がないか確認するから、お前は直ぐに白鳥と合流出来るように、玄関の入った所にいろ」
「は、はい」

 不審な物って聞くと、自分の部屋にまで危険が及んでいるんだ。

 鷲宮さんの提案で鷹野さんの部屋に暫くお世話になるのは、正解なのかもしれない。
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