不滅の恋人~君だけを想う~

《情熱》



 レオンハルトの演奏は聴衆が思わず溜息を零す程に情熱的だ。

ゆえに彼はファンの女性達から「ロマンチストの王子」などと囁かれている。

サロンにて周りの淑女達から彼の噂を聞いた時、フローラもそれを耳にした。

レオンハルトがどういった人物なのかを尋ねれば、彼女達は他にも色々なことを教えてくれた。

常は冷静沈着。

穏やかで紳士的。

彼が内に秘めた激しい情熱を解放するのはピアノを奏でている時のみ。

プライドが高く、孤高を好む。

女性には素っ気ない。


「女性には素っ気ない?それは違うんじゃ…」

「本当よ!どんな美人に言い寄られても冷たい眼差しで睨み返すんですって!けどハンサムだからモテるのよねぇ」


自分の知るレオンハルトを思い出し、フローラは首を傾げた。

傷心の自分を優しく慰めてくれた彼。

素っ気ないどころか、とても思いやりを持って接してくれた。


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