カフェには黒豹と王子様がいます
第四章 しなやかな黒豹
第四章 しなやかな黒豹


 今日は徳永先輩が休みで、小野田先輩と二人。

 この前徳永先輩に仕込まれたおかげで、今日は小野田先輩にどなられる回数が少ない気がする。

 お客様にケーキの説明をしていると

「よく覚えたな。やるじゃねえか」

 なんて言葉もかけてもらえちゃう。んふふ。

 
 それにしても小野田先輩は何であんなに、動きがいちいちきれいなんだろう。

 身長が190センチの徳永先輩と違って175センチくらいの小野田先輩は、華麗にお客様の間をすり抜けて、目的の場所に行く。

 音も立てずに動き回り、あっという間に机が片付く。

「こっちの音はお客様にとっては耳触り以外の何物でもねえからな」

 そうか、気を付けよう。

 それでも、どうやったらあんなに音を立てずにタンブラーを置いたりできるのかわからない。
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