カフェには黒豹と王子様がいます
番外編 小野田 恭一②
番外編 小野田 恭一②


 俺は今日遅番の徳永にメールを打った。

『緊急事態。店に来い』

 バイトに行くと、マスターがギプスをはめ首からつっていたからだ。

 どうも、家の階段から落ちたらしい。

 このままじゃ、ケーキも作れないし、コーヒーだって入れられない。

「店どうするんですか!マスターのコーヒーがなかったら無理ですって!」

「ほんっと申し訳ない!」


 とにかくケーキとコーヒーが出せなければ店を開けることができない。

 マスターは知り合いに店の応援に来てくれるように頼もうかと言った。

「頼んでみてくださいよ」

「ちょっと性格に難ありだよ?」

 そう言って西口の顔をちらっと見る。

「この際そんなこと言ってられないです。どんな人が来ても、おいしいコーヒーさえ出してもらえれば、何とかしてみせます」
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