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疾風と庭に戻ると、案の定、結たちが瓦礫を片付けていた。
一つ一つ、辛そうな面持ちで拾い上げている。

その表情を見て、改めて事の残酷さを知る。

この瓦礫の数─いや、それ以上の人がここで消えたのだ。

魂の消滅。

結たちにとっては家族であり、きっと─ほぼ確実に、彼らは現実を受け入れられていない。

どんな扱いを受けていたとしても、痛いと思う心くらいはある。

隣にいる疾風も思い出したように目を見開き、固まったままだ。

踏み出した足が石を蹴って音を立てた。

結が目を上げる。


「露李ー!疾風ー!早く手伝えー!」


にかっといつものように笑ってくれるものの、胸が痛んだ。

どうしても心の中に湧いてくるのは“ごめんなさい”という謝罪の言葉だった。

自分にはどうすることもできない。

失ったものから目を逸らした状態でも自分を気遣ってくれた優しさが、痛かった。

返すことができない。


「今、行きます!」


傍に、行っても良いのだろうか。

そんな風に思えて─進むのが怖かった。

でも、と露李は唇を噛む。


─今私がやることは、臆病になることじゃない。


しかし、進もうとする露李の肩を誰かが掴んだ。


「ダーメ。露李はこっちだよ」


誰何するまでもなく、水無月だった。


「あの、氷紀、私」


「風雅。俺と露李は秋雨たちとやらねばならないことがある」


有無を言わせないように露李を見てから、水無月は結に声をかけた。

結は怪訝そうに少し目を細めたがこくりと頷く。

それを確認してから水無月は結をじっと見つめる。


「壊れてくれるなよ」


睨むように見据え、歩きだした。

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