初恋マネジメント
レッスン 1





「……先輩、俺、本気で恋しちゃったみたいなんすけど……」




苦しそうな低い声で溢れんばかりの甘い思いを吐露したのは、学校一のイケメンでチャラ男と評判の三橋秀也(ミハシシュウヤ)だ。



お昼休み、学年がひとつ下の彼に呼び出されたのは、人気のない4階美術室。




「そ、そ……んなこと急に言われても……っ」




色っぽい瞳は瞬きもせずにあたしを見詰めて、それからじわじわと距離を詰めてきたから、慌てて後ずさる。



そのうちにいつの間にか壁際に追いやられていて、身長差を埋めて屈んだ三橋くんの綺麗な顔がすぐ近くにあった。


その色気にゾクゾクする。




「……俺、今まで女なんてみんな同じだって思ってたんすけど……、マジでこんな風に人のこと好きになるの初めてで……どうしたらいいかわかんねっす……」


「あたしだって、そんなの……し、知らないよ……っ」




とんっと優しい音がして顔を上げれば、壁に手をついた彼のせいでいよいよ逃げ道はなくなっていた。



< 1 / 69 >

この作品をシェア

pagetop