今日も上からものを言う。
いつも結局逆らえない自分に腹が立つ。
いや、でも身の危険を感じてしまうんだもん。
「じゃあ、帰ろうか」
にこやかに笑う彼は見た目は王子様みたいだけど、お腹の中は真っ黒だ。
しぶしぶ永瀬くんの後ろをついて歩く。
細身の割には意外に男らしい背中をしている。
その背中をジッと見ていると、いつのまにか目の前にあり思いっきりぶつかってしまう。
「ったぁー」
「横に並んで」
もう言い返すのも疲れたから、黙って永瀬くんの言うことを聞く。
そのまま2人、微妙な距離を保ちながら、並んで帰った。