クローバー♧ハート - 愛する者のために -

立ち向かうべきもの


帰り道。

頭の中には、護くんの言葉が繰り返されていた。



『悠も当事者です。知るべきだと俺は思うんです』



言っていることは分かる。

だけど、この子に理解できるだろうか。

五歳の悠に――。



「ハル、大丈夫?さっきから、いつもに増してボーっとしてるけど」

「あぁ……うん」



心配してくれている悠の言葉にも、上の空。

どうすればいいのか、まだ解決策が見つからない。


悠を裕貴になんか、渡したくない。

だけど、悠に全てを知られるのは怖い。

一瞬、幼稚園での護くんに対しての笑顔を思い出す。

悠は父親が欲しいと思っているのかな。



「ねぇ……もしお父さんが生きていて、悠と暮らしたいって言って来たらどうする?」

「……なにそれ。意味わかんない」


< 98 / 303 >

この作品をシェア

pagetop