太陽の恋
始まりの日
「愛ならきっと気に入るわ。新しい学校、とっても楽しいわよ。」
おばあちゃんがそう切り出した。
「うん…。」
私は、力なく答えた。
「もう…。星也くんのことは、考えないようにしなさい。星也くんだって、愛にそんな顔でいてほしくないはずよ。」
図星だ。正直ちょっと悔しかった。おばあちゃんには、何でもお見通しだから。
「…でもね‼
「愛には、俺がいるじゃんか‼」
急に口をはさんできたのは、お兄ちゃんだった。
「だーれが性格うざすぎる人を、好きになるんですか?」
さっきの話なんか忘れよう。きっと星也が迎えに来てくれるから。
「ひっでー言い方‼俺、結構モテるんだぜ?」
「お兄ちゃんを好きになるなんて!一体どれだけバカな女なの?」
「言っておくが、学校では、イイ男って言われてるんだけど?」
「それは、前の学校でしょ‼新しい学校がどうかなんて、まだだーれも知らないわ!」
「言ったなぁ‼」
「そーこーまーでー!」
突然、おじいちゃんが耳が壊れてしまいそうな大声を出した。
「二人とも!時間だぞ。」
「あーもうこんな時間!」
私たちは、急げ急げとあわてて準備をした。
「もう、まにあわなーい」
「ほれ‼早く乗れ!」
完璧に遅刻だ。と絶望していたら、おばあちゃんが車を出してきてくれた。
「おばあちゃん、ナイス‼」
私たちは、急いで車に乗った。

「お兄ちゃん?」
車の中でそっと聞いた。
「ん?」
「お兄ちゃんは不安じゃないの?孤立しないかとか、いじめられないかとか。」
コツン!
「っなによー!」
急にお兄ちゃんがでこぴんしてきた。
「なーにいってんだ!愛は俺の妹だろ?」
「もちろん!」
「なら、大丈夫だ。何があっても俺が守ってやるよ!」
「何それ~‼」
ゲラゲラ笑っていたらすぐに学校に着いてしまった。
「わぁー!綺麗な桜‼さすがド田舎‼」
車から降りるなり私は、そう言った。
「じゃ、中学の校舎はこっちだから。頑張れよ‼愛。」
中学の方が交友関係が難しいって、死んだお母さんから聞いたことがある。
本当は、お兄ちゃんの方が不安なはずなのに、笑顔で手をふっている。
『本当、素直じゃないんだから。』と思いながらも心の中では、そんな優しいお兄ちゃんが私は、大好きなんだ。
「ありがとう!お兄ちゃんも頑張ってね。」
そう言って、私は、おばあちゃんと職員室に向かった。
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