窓際の山河くんの隣は。
逃げ出さないこと。

楽しい。
心からそう思った。

ははは、と笑いあって、あてもなく走り出した。


もう、何もかも全部忘れて山河くんと一緒に居たい。そう思った。


「この電車乗って、できるだけ遠いところまでいこうよ」


私の突然の思い付きで始まった、小さな旅。
お金、ちょうどたくさん持ってたからよかった。


私たちはワクワクした気持ちで電車に飛び乗った。


もう、ずっとこのままでいいのに。
隣に座っている山河くんの方を見ると、やっぱり綺麗だと思った。

この人と二人で今から遠くに行くんだ。
そう思うとどうしようもなく嬉しく感じた。


絶対に学校からお母さんに連絡して、そこからお母さんから私に連絡が来る。

そう思った私は、そっと携帯の電源を落とした。

もう誰にも邪魔されたくなかった。
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