笑顔の裏側に

剥がれる仮面

歩side

あいつが保健室を出て行った。

あの笑顔を向けて。

なぜか心に引っかかる。

それにあの腕の痣。

ぶつけたくらいじゃあれほどにはならない。

じゃあどうやって??

まさか誰かに殴られた?

いや、さすがにそれはないだろう?

でもちらっと見えた腕には痣が1つではなかった。

手首の下に小さなものが1つ。

そしてその少し下に大きなものが一つ。

仮に物が当たったとしても、2つあるのはおかしい。

普通に考えたら、1つのはずだ。

それに手の甲にもかすり傷が数ヶ所あった。

それだけじゃない。

あのうなされ方と嫌と叫ぶ声。

あの腕を掴んだ時の異常な反応。

迷いなくそして勢いよく振り払った。

あの痣と何か関係があるに違いない。

そしてあの笑顔にも。
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