僕を愛した罪








「…こう言う時って、どうすれば良いのでしょうか?」




彼女と出会ってから、独り言が多くなった気がします。





わかりません。

僕がわかるのは勉強だけです。

人の心…それはわかりません。

だって僕自体、“心”が存在しませんから。





冷酷な人間であれ。

他人を蹴落とす存在であれ。

自分の良いように物事を進められる頭脳を持て。

…そう言われながら育ってきた僕です。




優しくする方法なんて、知りません。

以前辞書を開いて調べましたが、載ってません。

どこでどう調べたら載っているのでしょうか?






「…こんな俺じゃ、無理だ……」







『弱みを見せるな。
弱みとは人を弱くさせるだけだからな。

弱点を知られるな。
相手に知られたら相手の思うツボだ。

優しくするな。
その優しさにつけこまれたら、同じよう相手の思うツボだ。

…泣くな。
泣くのは弱みだ』







あの男は、冷めた目をしながら僕へ言い放ちました。

一字一句忘れずに覚えている僕が、憎いです。






殺したいほど、憎いです。








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