私を本気にさせないで

「俺が本気だってちゃんと分かってる？」

それは十一月に入った頃、突然言い渡された。


「白田さん、大森君と組んでミドヤとの共催イベント、仕切ってもらってもいいかな？」

突然大森君とふたりで部長に呼び出されたものだから、てっきり変な噂が立っていて、そのことについてだと思っていた。
だって気付けば犬のように私の後をついてきているし、それは同じ部署にいる人間なら嫌でも目に入ってしまう状況に決まっている。

そうなると変な噂が立っているのではないか……？
そんな不安に最近襲われつつある中の呼び出しだったから。

だけどそれはどうやら私の取り越し苦労だったようで、呼び出した理由は仕事についてのことだった。

「それは毎年開催されている冬のキャンペーンですよね？」

「あぁ」