「おーーい、開けるぞ」そこに兄の声…
「ちょっと待ってください」と森谷さんが返事をしたと思ったら、にやっと笑ってなんと、いきなり脇腹を力一杯くすぐられた。

ああっと、大きな声を上げたと同時に兄が部屋のドアを開けた。

「麻結、大丈夫か?下までまる聞こえだぞ。
えっと、あっ……悪い。
まあ、あと、三十分くらいなら待ってやろうか?」

「はい。ありがとうございます」

「麻結? ぶっ。風邪引くなよ。
ほどほどにな。まあ、父さんのヘボ芝居に引っ掛かってるようじゃ、お前も甘いな。
でも、兄ちゃんは順番が逆で先に、甥っ子が出来ても気にしないぞ」
と言葉を残してばたんとドアを閉めていった。

兄が出ていくと、森谷さんの体が離れた。


「なんてこと、してくれたのよ」