イケメン王子先輩と私。

ハプニング!!


【雫side】


さっき、何が起きたんだろう。私はベッドに寝っ転がり、考えていた。たしか私が『霰』って呼んで、それから――……。あぁ、私キスされたんだ。学校1のイケメン王子に。こんなこと、女子に知られたらショックだろうな……。数日後。私が教室にいくと黒板の方に沢山の人が群がっていた。その中から奏が出てきた。


「雫……!! ちょっ、あれどういう事……っ!?」


「え……?」


近づいて見てみると、そこには私と霰がキスしている写真が何十枚も貼られていた。なんで……いつ?誰が……!?


「星空さん、これどういう事!?」「私達の王子を独り占めしないでよ!!」と、女子の怒りの声が私にぶつかる。すると奏が私の隣にきた。


「ちょ、ちょっと皆! そんなに雫を責めないでよ……。もしかしたらこれ、合成写真かも知れないし! 雫、写真全部先生がくるまでに取ろう!!」


「うん……」


奏……。奏だけは私の味方でいてくれる。奏も王子……霰の事が好きなのに、私を責めないでいてくれる。奏が親友でよかった……。何とか先生が教室にくるまでに写真を全部取った。その次の休み時間、奏以外の女子は1つに集まり、私の方を見てひそひそとなにかを話していた。


「雫、そんなに気にしない方がいいと思うよ? 多分ほっとけば治まるだろうし……」


「うん……。あ、電話かかってきたから待ってて?」


そういって私は階段の踊り場にいった。携帯の画面を見ると、【結城霰】と表示されていた。


『……あ、雫か?』


「そうだけど。なんか、朝から大変なことがあって……」


『え、雫も? それって、黒板に写真貼られていたヤツか!?』


「うん。女子達が凄い怒ってた……」


『俺は、この子誰なの!?とか沢山聞かれてさ……。この事が治まるまで、会わない方がいいかもな』


「え、でも子猫が……」


『子猫は俺が世話するから。……あ、クラスの女子達に見つかっちまった……、じゃあまたな!』


そういって霰は電話を切った。あっちも大変そうだな……。しかも子猫と霰に会えないなんて……。それから1週間経ったが、まだ治まらない。その日の昼休み、図書館で本を読んでいると女子生徒に話しかけられた。


「あの〜、あなたが星空さんなのぉ〜?」


わ、いかにもぶりっ子そうな人がきた……。その人はピンクのセーターに膝よりも上で丈が短いスカート、そして軽くメイクをしている。その両隣には怖い顔をした女子が2人いた。


「あ、はい。そうですけど……」


「そっかぁ〜、ねぇ星空さん。ちょっと私達についてきて?」


「えっ、あ、はい……」


私は本を片付けて3人の後についていった。数日後についたのは屋上。私達以外には誰もいない。


「――あんた、皆の王子様独り占めしてんじゃねぇよ」


さっきまでほんわかしていた女子は、ありえないほどドスの効いた低い声でそういった。


「2年のくせに生意気なんだよ!! 調子のんな!」


「キャッ――!!」


私は2人の生徒に強く肩を叩かれ、フェンスに背中をぶつけた。もしフェンスがなかったら、校庭に落ちていただろう。すると、ピンクのセーターを着た女子はいつの間にか手に棒を持っていた。まさか……。


「あんたがいなけりゃいいのよ――!!」


「――ッ!!」


私は鉄の棒で頭を思いきり叩かれ、意識を失った。





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