てめぇ、他の課の新人が、なんでそんなところに座ってんだよ。
迷子か? 
それともお土産のどら焼きの匂いに釣られてきたのか? 
はいはい。お菓子あげるからさっさと自分のおうちに帰りましょうねー。

もちろんそんな悪態は綺麗に包み隠して、首をかしげてみせる。

「どうかしましたか?」

「あ、俺今日から営業一課に異動になりましたぁ。よろしくお願いします!」

ぴん、と敬礼してそう言う新人。

挨拶するならよろしくの前にまず自分の名を名乗れよ。
この時期に二課から一課に異動って、突然だな。上司を怒らせて異動にでもなったのか。

「莉央、先週課長が柴崎くんが休み明けから異動してくるって言ってたの、聞いてなかっただろ」

いぶかしげな私の表情に気付いたんだろう。
金子が耳元でそう言って小さく笑う。

「言ってました?」

「言ってたよ。どうせ休みに俺と実家に帰ることが楽しみで、耳に入ってなかったんだろ」

「ちっ……!」

ちがうわ、ぼけぇ! 楽しみになんてしてなかったわ! むしろ憂鬱で気が重かったわ!

「もうー、金子さんも友野さんもそうやって会社でいちゃつかないでくださいよー」

私たちのやり取りを見た柴崎くんは、頬をふくらませた。

誰もいちゃついてねぇからっ!


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