吸血鬼、頑張ります。



「お、

お、


お化けだぁ〜!!!!」

鉄観音は絶叫した。



「ちょっと、王様!落ち着いて下さい!」


「ダメダメ!!絶対無理!!幽霊だよ絶対!!
止めよう!!もう帰ろう!!」


「王様!静かにして下さい!中の声が聞こえないじゃ無いですか!!」


「うわっ!香織ちゃん!それヤバイから!!中の声とか・・・」



香織はパニックに陥っている鉄観音の首を締め上げる。


「ちょっと黙ってくれませんか?締め殺しますよ!」


「うぐぐ・・・か、かおりちゃん・・・ぐ、ぐるじぃ・・・」


香織は鉄観音を床に放り投げると、扉の前に行き、声を掛ける。


「あの〜、誰か居るんですか〜?返事をして下さい?」


扉の内側からは何も聞こえない。


「返事をしてくれないと、扉を壊しちゃいますよ〜?良いですか〜?」


尚も返事はない。


「王様、扉を破壊しても宜しいですか?」

香織は鉄観音に聞く。


「か、香織ちゃん・・・。そんなに可愛い女子高生が、扉を破壊しても良いかって聞くの、ちょっと引くわ〜・・・」


鉄観音は香織から目を反らす。


ツカツカと鉄観音の前に香織が歩いてくる。


「王様、扉も破壊しても宜しいですか?」


「えっ?か、香織ちゃん、扉もって、後は何を破壊しようと言うんだい?あは、あははは・・・」


香織の眼は、笑っていなかった。


「・・・」


鉄観音は黙る。


香織は扉に向けて拳を突き立てようと身構えた。


「じゃあ、壊しますよ〜。
いち、にぃ〜の・・・」



−ち、ちょっと待て!!−


扉の向こう側から、少女の声が聞こえた。


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