ナンバーガールズは哲学する。
ナンバーガールは結婚を考える。
5 結婚

女の幸せは結婚だと言います。

私は二年前に離婚を経験しました。

今から思うと、私達は出会わなければ良かったのだと思います。

予兆はあったのです。

彼と付き合い始めて3年目、私が結婚を迫ると

彼は、逃げました。

自分を幸せにできる自信が無いと。

今から思うと、彼は正しかったと思います。

しかし、その時私には、彼しかいなかったし、

結婚というものに囚われていて、年齢的な焦りもあったので

結婚して欲しいと、泣き落としました。

女の涙は武器と言います。

彼は今から思うと、渋々、苦渋の末に結婚してくれました。

このことについては、とても悲しく思います。

プロポーズの言葉など私には思い出せないのです。

男性にとって結婚には責任が伴うのも理解出来なくもありません。

経済的な事、子供を育て上げる事も、

生涯を通じ一人の人を愛し続けられるのかという事も、

全て、重圧に感じるようです。

少なくとも、彼は、それに耐えきれなかったようです。

それでも彼は私を愛してくれていたと感じます。

私が病気の時は会社を休んで看病してくれました。

大雨の日、私がパートの帰りに傘を忘れて困っていると

彼が心配して連絡をくれ、わざわざ傘を持ってきてくれました。

本当は、パート先に忘れ物の傘が沢山あったので、

それを借りて1人トボトボと帰れば済む話だったのです。

私達はその日、傘を並べて帰ることができました。

輝かしい思い出の一つです。

人はまず、ある他者に対して、興味を持ちます。

恋愛関係は、狭いコミュニティで生まれるのです。

この人はどういう人なんだろうと、思います。

面白い人だな、と思うかもしれません。

最初のきっかけは、見た目かも知れません。

そして、気がつくと、その人のことを眠りにつく前に

ふと、思い出すかも知れません。

人を好きになるとは、そんな事なのです。

だから、離婚してしまった時、私は

「裏切るなら最初から近づいて来なければ良かったのに」

と思ったものですが、よくよく考えてみますと、

人と人が出会う時、まず結末を考えて接近する、ということは

そうそうある事では無いのです。

ましてや、最後には裏切って、傷つけて、失意のどん底に叩き落としてやろうなどと

普通は思わないのです。

私の周りにも結婚した人達は沢山います。

幸せそうな人達が殆どですが、

それは私が今、こんな境遇だから一層そう感じるのでしょうか。

妬みはありませんが、羨ましい気持ちでもありません。

私の場合、たまたまこんな結末を迎えてしまいましたが

人生と同じで、未来のことなど誰にもわからないのです。

念願の子供を授かった私の友達は、みんなから祝福を受けました。

ところがその子は結局、流産してしまいました。

私は彼女を可愛そうだと感じました。

幸せの期待値を高めてしまうと、結果が不意に終わってしまった時

人は、裏切られた、騙された、不幸だ、と感じます。

私の場合も、彼に期待し、彼を理想化し、彼の本質を見抜けなかったことが

離婚に至った最大の理由です。

一言で言うと

私達は出会わなければ良かったのです。
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