それいけヒーロー部

裏の話


かっちゃん先輩が言っていたことも、葛西先輩が言っていたことも正しかったとわかるのはそれからほんの数日後のことだった。




「1年1組31番牧村くるみさん。ちょっと一緒に来てくれるかな?」


「ご丁寧に出席番号までどうも。」




前にかっちゃん先輩たちに囲まれていた沼田先輩という人が接触してきたのだ。


しかも、朝のこの遅刻するかどうかぎりぎりの状態の時に。




なんでかっちゃん先輩といいみなさんこの時間に接触してくるのさ。

おかげで今日も遅刻だよ!

担任に怒られるのはあたしなんだからな!



マリリンに誤魔化してもらうのももう限界だろうし、何よりマリリンを誤魔化すことがもう限界だ。


どんな言い訳をしようとも誤魔化されてはくれないだろう。





「今じゃないとダメですか?」


「今がいいから今来たんだよ。」


「あたしもう遅刻できないので後回しにしていただきたいのですが。」


「後回しにされると困るから今なんだよ。」


「え、じゃあ遅刻を誤魔化してっていう連絡もしちゃだめですか?」


「残念ながら。」


「無断遅刻となるとうちの担任にめちゃめちゃ怒られるんですけど。」


「オレがちゃんと弁解してあげるから大丈夫。さ、一緒に行こうか。」




色白な肌に黒髪が異様に映える。

骨格が細いのかどこかひょろ長い印象だ。



ただ、以前かっちゃん先輩たちにやられていた時とは比べものにならないほど穏やかな表情で爽やかに笑う沼田先輩は見るからに「良い人」という感じ。


それでも、海先輩が認めるほどの先輩達が手を出さなければいけないようなことをこの人はしたんだろう。






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