イケメン御曹司に独占されてます
おばあ様のランチパーティ
広い庭には、大小の木立。鮮やかに色づき始めた広葉樹の足元には、よく手入れされた秋の花が咲き乱れている。
十月末の穏やかな日差しに透かされた木の葉は、更にその朱を鮮やかにする。


重厚な威厳を漂わせた洋風の館。
サンルームとテラスを隔てるガラス戸は開け放たれて、室内とこの広い芝生の庭園を自由に行き来できるように設えられている。

ガーデン・パーティは開始から小一時間ほど過ぎ、ほどよく食欲を満たした後は、それぞれが談笑に花を咲かせていた。


さっきまで隣にいた池永さんは、何人かの初老のご婦人に捕まって話し込んでいる。

なかなか切り上げられない包囲網に時おり救いを求めるような視線を投げられるけれど、私はそれに小さな笑顔を返して広い芝生の隅に移動した。


今日は日曜日。そしてここは池永さんの住む会長の自宅。
会長のごく親しい友人を呼んで開かれているランチパーティに、なぜか私も招かれている。





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