イケメン御曹司に独占されてます
「い、いえ。あの、池永さんって、会長のお孫さんだったんですね」


その言葉に、池永さんの瞳が少し翳る。触れてはいけない話題だったのかな——そう思った瞬間、ふっと表情を緩めた優しい眼差しが、私に向けられた。


「別に隠しているわけじゃないんだ。でも、現実的に将来社長になるのは拓哉だから、俺のことは伏せといた方が良いんじゃないかって思って。ほら、何かと色眼鏡で見る奴が出てくるだろうし。だけどさすがに重役クラスは知っていることだから、今更お前にバレたところでどうってことない。……でもだからって、言いふらすなよ」


「そんなことしません!!」


大体、そんなことしたらますます池永さんを狙う女の子が増えて、私に対するあたりが余計にキツくなってしまう。
……それに、これ以上池永さんの周りに女の人が増えるのは、何だか嫌だ。


「あの、加奈子さんは……」


さっき、『加奈子が探している』と拓哉さんに告げた池永さん。
反射的に胸が痛んだのは、きっと池永さんが加奈子さんを呼び捨てにしたからだ。

そんな自分に戸惑いながら、それでも聞かずにはいられない。
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