季節外れのサクラの樹に、嘘偽りの花が咲く
過ちに真の実は生らぬ
それから3日後の夕方。

この間と同じカフェで待ち合わせて壮介と会った。

コーヒーを飲みながら壮介の様子を窺う。

「…で…その後どう?」

「特に変わりない。すくすく育ってる。」

「そっか…。かわいい?」

「めちゃくちゃかわいいぞ。俺、子供そんなに好きとは思ってなかったんだけどさ。毎日育ってくの見てるとやっぱりかわいいもんだな。」

「そうなんだ。」

自分の子ではない可能性が高いとわかっていても、壮介にとってはもう“我が子”なんだ。

本当は今日、DNA鑑定をしてみたらどうかと勧めるつもりだった。

だけど真実を知る事が、壮介と子供にとって本当に幸せなのかという思いが強くなった。

「…壮介の子なんだね。」

「……うん。」

「じゃあ…私が言う事なんかないよ。」

壮介はコーヒーを飲んで、少し遠い目をした。

「ズルズル同棲なんか続けてないで、もっと早く朱里と結婚してたら…なんにも考えずに、ちゃんと幸せだって言えたのかな。」

「え?」

「俺は朱里が何考えてんのか、よくわかんなかったからさ。ホントに俺の事が好きなのかも、そんなんで結婚してお互いに幸せになれんのかも…自信なかった。」

「そうなの?」



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