強引なカレの甘い束縛


それに、旅行の最終日に学年全員でチャレンジする登山に向け、一年前から体力作りにも励んでいたというのに。

体育の授業でのランニングもそのひとつで、登山に向けて一致団結する喜びを知ることもできた。

それなのに、両親の気まぐれのせいで、私は楽しみにしていたすべてを諦めなければならなくなった。

どれだけ抵抗しても私の言葉を聞き流す両親に対して、まだ高校生だった私はどうすることもできなかった。

両親は自分たちが望む生き方しかできず、それによって子どもが犠牲になっても仕方がないという考えを持っていた。

お互いを愛し、結婚する。

そのことだけに幸せを感じていたふたりには、姉さんや私の存在に大きな意味は見いだせなかった。

私たちがいるからといって幸せを感じることもなかったに違いない。

そのことは子どもの頃から感じていたけれど、さすがに高校生になった頃には変えられない現実として受け入れるしかなかった。

< 137 / 376 >

この作品をシェア

pagetop