溺愛レンズ



「杉咲は何出んの?」




「私?私は何にもでないよ!写真部は写真の記録係なんだよね、希望者だけが参加って感じ」




レンズを覗き込みながらカシャっと音を立てて写真を撮る。





「なんだ、応援しようと思ったのに」




頬杖をついていた手を離しながら、身体を起こした佐伯が残念そうに片眉を下げて笑った。





「でも凄いな写真部、写真楽しみにしてる」




「うん、佐伯の試合も撮りに行くよ」




「俺バレー出るからよろしくな」



「任せて!」




私はどっちかっていうと運動は苦手で、本を読んでたり映画を観ていたりする方が好きで




だから球技大会に参加したいって願望はほとんどなくて、むしろこうやって楽しそうにしている皆んなを撮るのが好きだ。





「レイ、そっちの写真撮り終わった?」




佐伯と話しながらアキラちゃん達の勝利した姿を写真におさめていると、




「ショウマ」




同じ写真部のショウマは制服の私とは違いジャージ姿なところを見ると、多分球技大会に参加しているんだろう。




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