夜闇に咲く

時空移動

「うあああ……うーーんん……」


うーし、いくかぁぁぁ……

おーし、待ってろーポチィィィィ

うーん、寝むいよおおお……

日和はコンビニで買った猫缶の入ったビニール袋を振り回しながら神社の前の階段の前まで来て長く続く階段を見上げ立ち止まっていた


上るのがつらいのだ、どうにも眠くて……
昨日は早くに寝たし、授業中だってきちんと睡眠に費やした。

朝練に部活、規則正しい生活をしたはずだ……

「ふあああ……」

今日一の大あくびをかまして、日和は腹をくくって登り始めた





だが、今思えば、この時登らなければ、あきらめていれば、あんなことになることもなかったように思う。


気付いたら、今上ってきていた数百段は軽くこすと思われる階段を頭から落ちていっていた。

石段に打ち付けられる体と頭への衝撃に何もできず、日和は混乱した意識を手離した




勢いよく転げ落ちた日和の体は、階段のふもとに……なかった。



この日、日和は忽然と姿を消したのだ




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