地味子さんの恋愛事情
Chapter1□名取家の兄弟と地味な私
騒動から半年経った今は順調に、それもいつも通りに日々を過ごしていた。

「社長、コーヒーです」

私は上司である名取竜馬(ナトリリュウマ)のデスクにコーヒーを置いた。

「どうも、だけど2人だけの時は“お兄ちゃん”って呼んでもいいんだぞ?」

彼はそう言った後、コーヒーをすすった。

「いいえ、社長のことをそう呼ぶ訳にはいきません。

プライベートでは兄妹かも知れませんが、会社では上司と部下です」

そう言い返した私に、
「桃子ちゃん、顔が怖いよ。

元はとても美人なんだから、怖い顔してたら逃げられちゃうよ」

竜馬は笑いながら言い返した。

「お世辞でもありがとうございます。

ではまだ仕事が残っているので失礼します。

隣の秘書室にいますので、何かご用がありましたら」

私は会釈をすると、社長室から立ち去った。
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