円満破局

きらいに





教室に柔らかなオレンジの光が射しこむ。

教室から見た夕日ははるくんと付き合っていた頃となんら変わりない。

そのはずなのにどうしてか、その色がどうしようもなくさみしいと感じてしまう。



ひたひたと心が切なさに浸され、わたしは今にも溺れてしまいそう。



わたしのぬくもりの移った椅子に腰かけたまま窓の下を覗きこむ。

はしゃいで集まる女の子たちや、罰掃除をする男の子はもういない。

ランニングを済ませたばかりの運動部の人たちのそばを初々しく肩を並べたカップルが歩いていく。



1月末のやけに寒い放課後。

みんなが色々なことをしている中、わたしはひとり、誰もいない教室にいた。

まるで、あの日のように。



少しの汚れもない黒板は見事な深い緑。

ごみはひとつも落ちていない教室に、机と椅子がきちんと並んでいる。

日直の人が真面目に仕事をしていたからだね。



電気のついていない教室がゆったりと闇に呑みこまれていく。

わたしはその様子をぼんやりと肌で感じていた。



わずかに瞳を伏せる。

その時、扉ががらりと開き、明かりがつけられた。



「うわっ」



中にいたわたしの存在に驚く男の人の声。

はっと反応して顔を向ければ、そこには、



「笑花……?」



目を見開いたはるくんがいた。






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