2人きりのティータイムは、苦くて甘い。
努力


「まず、物事には優先順位をつけて必要なことから始める。時間配分も考えてな。
有坂さんはパニックに陥りやすい。一度に複数処理できないぶん、1つのことに集中して早く仕上げた方がいいだろう」

「はい」


夏の盛りも過ぎて秋の気配が漂うころ。私は朝のティータイムに自分のことを課長に相談するようになった。ビジネス本を読んだ疑問点を質問したり、効率のいいやり方を考えたり。


それですぐに改善するわけじゃないけど、以前より気を使って集中する分確実にミスは減った。そして、課長のアドバイスは実に的確で驚く。
よくこんなに見てるんだ、と思うくらい課のみんなのことを把握してる。
20人もの部下を抱える上司としては当然かもしれないけど、仕事の配分や采配はよくよく考え込まれたもので。頑張ればこなせる量を適切に任されると初めて気付いた。


厳しかったのは当人を育てるためで、決して好き嫌いが絡むからでないことも。


そして、ある日。


私は課長から重大な資料を用意する仕事を任された。


ティータイムが始まって4ヶ月。とうとう信頼されたんだ、と嬉しくなって。絶対成功させようと張り切った。


< 7 / 10 >

この作品をシェア

pagetop