さくらいろ
第1章



「「誕生日おめでとおーーーっ!!」」

「わぁ…ありがとう!」

勢いよく中身を飛ばすクラッカーに弾ける拍手、そして四方八方から飛んでくるお菓子達。

「素敵な17歳にしてねっ」

「うん、ありがと…ほんとに嬉しい」

わたし、日向花穂(ひなた かほ)は今日4月7日で17歳になった。

「ヒナちゃんのために特別に牛乳も買ってきてやったぞ〜っ」

「ひどい…牛乳嫌いって知ってるのに……」

「そんなこと言ってるからいつまでも小さいままなんだ!!」

「だって嫌いなんだもん…」

ぷぅ、と膨れるとみんなから笑いが起きた。

わたしの通っているこの高校はクラス替えがなく、クラス全体がとても仲が良いのだ。

だからわたしのような少し控えめ(と周りから言われる)でも、みんなの輪の中に入ることができる。

そんな素敵なクラスのみんなに、誕生日を祝ってもらっているのだ。

「ヒナちゃんクラスで1番小さいのに1番歳上なんだよね〜」

「はっ、ほんとだ!みんな、ヒナ先輩を敬えー!」

誰かの声を合図に、ははーっとわたしに向かってみんなが膝をつく。

わたしはふふんと少しふんぞり返ってみせる。

そしてまた笑いが起きる。

わたしはこのクラスの明るく優しい雰囲気がとても好きだ。

毎日が平凡で、だけど退屈だなんて思ったことはない。

毎朝学校に行くのが楽しみで待ちきれないくらいだ。

――――でも

―――――そんな平凡で楽しい毎日が

――――――今日4月7日、急に幕を閉じた。


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