虹色研究部 - ニジケン -
ニジケン、卒業する
時間は誰にでも平等に過ぎると言うけれど、それはきっと嘘だって、振り返ってみて思う。

クリスマス会では、闇鍋やプレゼント交換で盛り上がったり。
学校のすぐ近くにある神社に、皆で初詣に行ったり。
先輩達の合格発表の日には、一緒に会場まで行って喜びを分かちあったりもした。

他にも、深町先輩を巻き込んで、生死を掛けた雪合戦をしたり。
例のごとく負けを喫した深町先輩は、巨大雪だるまにされて校門に晒された。
深町先輩の惨敗コレクションも、いつの間にか五個に増えていた。

吐く息の白さも消えて、代わりに、舞い散る梅の花弁の白さが早春の訪れを告げている。


進路が決まった卒業間近の三年生は、とっくに自由登校になっていて、校内からは賑わいが欠けている。

私は柔らかくなった陽射しを見つめながら、窓の隙間から入り込む梅の香りに、思いを馳せていた。


「……んっ。あー、今何時だ?」


「おはようございます。とっくに放課後ですよー」


気持ち良さそうに寝ていた蘭先輩が、ソファーからむくっと起き上がる。

半分しか開いてない寝ぼけ眼で、ぼーっと私を見つめた。
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