自分と彼が特別な関係だということは、きっとずっと前からわかっていた。

 触れただけで伝わる感情が自分の思い違いではないと、その時はもう互いに気づいていたから。
 でも、そのことを自分達は口に出して語ったりはしなかった。
 そして、誰にも教えたりしなかった。

 それは二人だけの秘密なのだ。
 誰も知らない、特別な。

 口に出してしまえば、それがもう特別ではなくなってしまうような気が、していた。
 たくさんの監視カメラと自分達の傍を滅多に離れない大人達に気づかれずに、二人で感情を分け合った。
 悲しみも喜びも痛みも楽しみも苦しみも嬉しさも、本当に、何もかも。
 それこそ、どちらが自分の感情なのかわからないほど、二人で一人だったのだ、自分達は。
 ずっとそうであれると、信じていた。

 あの頃は、ずっとそんなふうに生きられると、信じて、いたのだ。