篠崎海は穏やかに微笑み、その箱に手を伸ばすとゆっくりと開けた。そして、中には先ほど見たデザインの指輪で、ピンクダイヤモンドに替えられたものが入っていた。さっきの指輪も可愛いと思った。でも、実際にピンクダイヤが入ったものを見ると『綺麗だけど可愛い』と本当に思った。


「里桜。手を出して」


 そんな篠崎海の言葉で手を出すと、左手の薬指にそのピンクダイヤモンドの指輪を嵌めてくれたのだった。可愛いだけでなく自分でいうのも可笑しいけど、とっても似合うと思ったのだった。


「本当に貰っていいのですか?」


「勿論だよ。俺が里桜の為に選んだのだから」


 自分の指に嵌められた指輪をそっと撫でると、とっても嬉しいと思った。豪華な指輪が嬉しいのではなく、篠崎海が私の為に選んでくれたというのが嬉しかった。こんな豪華な指輪ではなく、シロツメクサで作った指輪であっても私は嬉しかったと思う。


「ありがとうございます。嬉しいです」


 そんな私の言葉に篠崎海は嬉しそうに微笑んでいた。


 こんな風に優しく見つめられるとドキドキがまた止まらなくなる。ただでさえ綺麗で端正なその顔に浮かぶその綺麗な顔に私は囚われていた。


 店を出ると、いつの間にか高取さんが店の前に車を用意してくれて待っていてくれた。さっきまで一緒に居たはずなのに、タイミングよく車を回すことの出来る気の使い方に感心してしまう。そのお蔭で私と篠崎さんは誰に見られることもなく、車の乗りこむことが出来たのだった。


 窓の外を見ると、先ほどの貴金属店の店長が恭しく頭を下げている中、ゆっくりと車は動かしたのだった。