居場所をください。

貴也side



***


………明らかにおかしい。

もともとベタベタする方じゃないけど

明らかに目は俺を怖がってる。

拒絶してる。


…本当に、何もなかったのか?


俺は、浴槽を洗いながら

悶々と一人で考えていたけど

結局気になって電話を掛けた。


『おう。』


「長曽我部さん、すみません。

…………美鈴のことが気になって…」


『……美鈴とマンション帰ったろ?』


「いや、なにがあったのか、です。」


『あぁ、襲われてた。』


「は?」


『でも最後まではしてねーよ。

……むしろ、そっちじゃねーのかも。

美鈴がショックを受けてるのは。』


「なんですか?」


『和也ってやつ、覚醒剤やってたんだよ。

で、美鈴の腕にも打とうとした。』


覚醒剤…そうか、だから腕はダメなのか…


「……あの、長曽我部さん

美鈴に触りました?あのあと。

手でも、どこでもいいんですけど…」


『え?あー、手と腕と肩と頭には触れたかな?

それがなに?』


「いや、それならいいんです。

すみません、おやすみなさい。」


『あぁ、お疲れ。』


…………なんだよ、長曽我部さんはよくて

俺はダメなのかよ。

…なんでいっつも長曽我部さんばっかり…


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