「まぁそんな怖い顔しないでほしいな。ミステリアスでおもしろかったでしょ?魔法とか妖精とか、キミはそういうカワイイことが好きみたいだから。でも、昨晩のことは内緒にしてくれていたみたいでうれしいよ」

「…一応、約束ですから」


課長はうれしそうに表情をほころばせた。けれど急に元に戻して、まっすぐにわたしを見つめた。


「その調子で、これからも内緒にし続けてほしいんだけどな」

「それはもちろんかまいませんけど…でも、どうしてですか?時差ボケくらい、誰だってあることでしょうに」


「え?」


課長はきょとんとした表情を浮かべた。


「ふふ…っあ、ははは…!」


かと思うと急に笑い出した。


「やっぱりキミ、サイコ―だな」

「え、え?わたしなにかおかしなこと言いました?」

「いや…ふぅん、なるほど、時差ボケね…。そっか、そっか。俺もそう言ってごまかせばよかったんだな」


ごまかす…?


「でもま、後の祭りだ。…やっぱいいかな、キミになら」


ひとりごちるように言いながら、課長は目尻の涙をふいている。

どういう意味だろう?

「わたしになら?」って?


課長は怪訝に思っているわたしに近づくと、のぞきこむように見てきた。